突然ですが、「100を言ったら負け」ゲームをご存知でしょうか?僕も正式名称は知らないのですが、何人かで1から順に数字を言っていき(言える数字の数は最大3つ)、100を言った人が負けっていうアレです。
このゲームを2人でやると、ちょっと考えたら誰でもわかる必勝法(というほど大げさなものではない)があるのですが、それを間違えて認識してた友人に起こった悲劇を紹介します。
高校時代の話になります。
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放課後のテスト勉強
高校時代、僕は野球部に所属していたので、いつもは授業が終わると夜まで野球の練習だったが、テスト習慣(確かテストの1週間前)は部活が休みになった。
もちろん勉強するためだが、僕は家に帰ってしまうとあまり勉強できないタイプだったので、毎日ではないが、放課後、教室に残って勉強することがあった。
何人か教室に残って勉強しているので、やらなければいけない空気になるし、勉強がひと段落したときに、放課後の教室でみんなと話すのが好きだった。
その日は、男女合わせて5~6人が残って勉強していた。
「いっせーのーで」親指ゲーム
「喉かわいた!!休憩!!」不意に一人が言い出す。ちょうど僕も休憩したいなと思っていたし、みんなもそう思っていたようでみんなで休憩がてら何か飲むことになった。
そして、ゲームに負けた人がみんなの飲み物を買ってくるということになり、「いっせのーで」親指ゲームをすることになった。
この「いっせーのーで」親指ゲームとは、全員が両手をグーの形(親指は握り込まない)にして出し、「いっせーのーで○(数字)!!」という掛け声と同時に各々が気ままに親指を上げ、上がった親指の合計と言った数字が同じなら、数字を言った人が片方の手を引っ込める。
残った片方の手も引っ込めれたら抜けなので、一人、2回正解で完全に抜けていく。そして最後に残った人が負け。という、多分誰もが一度はやったことがあると推測されるゲームである。
このゲーム、人数が多い間は数字を当てるのに時間がかかるが、一人抜け、二人抜け、人数と手が減ってくると正解の確立が上がり、抜けるペースが早くなってくる。そして、GとKという、男二人が片手づつで残った。
100を言ったら負けゲームの勝ち方
「二人になったし、100言うたら負けのやつで決めようや。」と「100を言ったら負け」ゲームでの決着をGが提案する。
なぜ、Gがこの提案をしたかというと、過去にこのゲームの必勝法について僕がGに説明したことがあったからだった。
「100を言ったら負け」ゲームは各々が1から順に数字を言っていく。言える数字の数は最大三つ。これを続けて100を言った人が負けのゲーム。
100を相手に言わせたら勝ちなので、「99」を自分が言えたら勝ちになる。二人でやる場合、相手の言える数字が最大で3つなので、99を言うには95を言えればよい。
相手が、「96」,「96,97」,「96,97,98」と、どのパターンできても必ず99を言える。同じ考え方をしていけばいいので、言いたい数字からずっと4を引き続けていけばよい。
91,87,83,79・・・11,7,3となるので、結局は3を言えたら勝ち。初項が3、公差が4の等差数列を並べていけばよいことになる。
授業で数列を習ったとき、Gが「こんなもんどこで使うねん!」って言ってたのがきっかけでこんな話をした気がする。
Gは数学が大の苦手だったが、「これ使えるな!」と言ってたので、この話をしたときは完全に理解していたと思ってたが、まったく理解してなかったことを後ほど思い知らされることになる。
100を言ったら負けゲーム開始
KがGの提案を受けたので、二人の勝敗を「100を言ったら負け」ゲームで決めることになった。じゃんけんでどちらが先に数字をいうか決める。
3を言えたら勝ちである。なので、じゃんけん勝ったら勝ち。じゃんけんの結果、Gの勝ち!Gが先に数字をいう。
G:「1、2、3!!」
この時点でGの勝ちが確定。
K:「4、5、6!!」
G:「7、8、9!!」
(ちょっ、、、なぜ9までいく??7でとめないと。。。11で止められたら負けやで。)
K:「10、11、12!!」
迷いなくつっぱしるK。
(そうか、相手はKだった。)
実は、このKもGと同じくらい数学が苦手。何も考えていない様子。こうして、ノーガードの打ち合いが始まる。Gが必勝法を間違えて理解していても、Kが何も考えてない以上、まだチャンスはある。
Kも愛すべき男であるが、このとき、過去に勝ち方の説明したし、僕はGを応援していた。ちなみに、対戦相手のKについては以下の記事でも紹介してます。
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叶わなかった同窓会~ありえない告白~
お互いに3個づつ数字を並べていく。
K:「58、59、60!! 勝負は90らへんからやな。」
いや、最初で決まる。さすがK。愛すべき男。
しかし、気になるのはGが従っている法則である。初項3、公差4の等差数列以外であることは間違いないが。
明らかになった法則
G:「85、86、87!!」
(87言えてるし、勝ってんねんけどなぁ。何に従ってるんやろ。。。)
そう考えていたとき、Kが動く。
K:「88、89!!」
初めて2個で止めるK。しかし、深い考えがあるわけではなく、単純に90が近づいてきたから2個にしとこうという感じ。
G:「90!!」
1個で止める。そして僕を見て、にやりとする。
(え??何??90??正解は91やぞ。。。)
再びK。
「91、92!!」
安定の、浅はかな2個止め。もう相手に勝ってくれって言ってるようなものである。
そしてG。
「93!!」
再び1個で止め、こちらを見てくる。勝ちを確信してる感じで。。。
そして、Gの法則に気付く僕。
(こいつ。。。3の倍数で止めてる。。。「4の倍数に3を足す」という説明が、「3の倍数」に変換されてる。)
やっとGの法則(3の倍数)に気付いたけど、もうどうしてやることもできない。
壮絶に散る男
そして、熟考に入るK。
しばらくして、
「94、95!!」
そうコールし、Kの表情は勝ちを確信したものになる。さきほどまでの浅はかな2個止めではなく、明らかに意思を持った2個止め。
終わった。。。さすがにここまでくると、Gも自分の犯してきた間違いに気づくに違いない。そう思ったときだった。
「きゅうじゅうろーーーく!!!!」
そう高らかにコールし、ガッツポーズを作るG。
(こいつ、マジか・・・まだ気付いてない・・・。G・・・3個数字言えるねん。95でKに止められた時点でお前負けてるねん。Kは99まで言えるねん・・・。そのガッツポーズはないねん・・・)
こんなに可哀そうなガッツポーズを今まで見たことがなかった。そして、無情のラストコール。
K:「97、98、99!!オレ、コーラな!!」
G:「え?なん・・で??え?」
放心状態で僕の方を見るG。
僕:「3の倍数やない。4の倍数に3を足さないと。てか、3の倍数で止めるなら、お互いいつでもできるやん。」
そう説明しても、まだ理解できていない様子のG。
G:「え?だって必勝法って。。。」
僕:「4の倍数に3を足した数字を言うていく。おれもコーラ。」
「Gくんわたし○○」「G、オレ○○!」
各々が思い思いにオーダーする。すべてのオーダーを聞き、みんなからお金を預かり、教室を出ていくG。
勝ちを確信した直後、奈落に突き落とされたその背中を僕は直視することができなかった。
勝ち方を説明したのは僕、そして、その説明をGはちゃんと理解できてなかったので、この負けの責任の一端は僕にあるのかもしれない。
ただ、Gは95で止められても自分の負けに気付かなかった。
(どこから説明したらわかってくれるかな。次はもっと前段から説明してあげよう。)
と、そんなことを考えながら、Gの帰りを待つのだった。
おわりに
高校2年のときの話です。現在、当時仲の良かったメンバーとはSNSを通じて再会できているのですが、今回紹介させてもらったGとKには再会できていません。凄く会いたいです。
しかし、20年以上も前の話なのに、記事を書いていると当時を鮮明に思い出せます。懐かしい。高校時代には野球部の仲間やクラスの気の合う仲間との楽しい思い出が他にもたくさんあるので、また紹介したいと思います。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。