コロナウイルスの影響で中止となった夏の大会に代わって開催された甲子園交流試合。春の選抜出場予定だったチームによるたった1試合だけの組み合わせでしたが、試合を見て、やはり高校野球は素晴らしいと実感しました。
その最終戦となる白樺学園 vs 山梨学院の試合。この試合の5回に一見不可解に見えるプレーが発生しました。そのプレーを「なぜ?」とランナーを悪者に書くような記事を見ました。僕はこの記事を見て「なぜ?」と書いた記者に疑問を持ってしまいました。
タッチアップ本塁目前の帰塁
そのプレーは5回、白樺学園の攻撃中に起こりました。1点を追う白樺学園はこの回、先頭の川波選手のホームランで同点とし、その後、無死1,3塁という絶好の勝ち越しのチャンスを作ります。
ここで、片山選手がライトへ大きなフライを打ちます。ライトがボールを捕球し、三塁ランナーの細谷選手がタッチアップのスタート。普通であれば、細谷選手がホームインで白樺学園が勝ち越しです。
しかし、細谷選手はホームを目前にして帰塁。ライトから返って来たボールが3塁に送られ細谷選手はタッチアウト。1点勝ち越しで尚も1死1塁のはずが、同点のまま2死1塁となりました。
珍しいプレーに間違いはないですが、考えられる理由は一つです。3塁ランナーの細谷選手は、ライトの捕球前にスタートを切ってしまったのでしょう。
このプレーは白樺学園から見ると確かにもったいないプレーでした。しかし僕は、素晴らしいと思いました。
本塁直前まで走っているのだからそこから帰塁したとしても、アウトになる可能性が高いと細谷選手も思っていたはずです。でも、自分のミスに気づいていたから彼は帰塁した。
本塁直前まで走ってしまっていたら、
「このままホームインしてしまって、バレてなかったらもうけもん」
という思いがよぎってもおかしくないと思います。というか、普通はそう考えそうです。3塁塁審がチェックしてなければ、ホームインは認められます。
しかし、ミスをした自分が一番よくわかっているから、彼は戻ったんだと思うのです。そう思うと、このプレーは帰塁した細谷選手を褒めてあげても良いと思えてくるのです。
もちろん、走塁ミスです。チームからしたらとても痛いミスです。しかし高校生なのだから、ミスは当たり前。そのミスをごまかそうとせず、なんとか取り返そうとした細谷選手の走塁を、僕は褒めてあげるべきではないかなと思います。
脱税やら、飲酒運転やら、他にも「バレなければいいやん」的な行為をする人が社会には当たり前のようにあります。でも、細谷くんは「バレなければいいやん」と思ってホームベースを駆け抜けず、戻った。
それは素晴らしいと思うのです。
なぜ走塁ミスだけにフォーカスを当てた記事しかかけないのか。。。
書いていることは事実なのですが、帰塁した細谷選手の正直さを少しは褒めてあげてほしかったです。