ブログ小説【ぼくが知ってるお母さんのひみつ】

久しぶりに小説投稿サイトの応募用に超短編小説を書いてみましたので紹介します。

ぼくが知ってるお母さんのひみつ

「お父さん、はいこれ!父の日のプレゼント」
仕事から帰るなり、小学生の息子から手紙を渡された。息子はそのまま部屋へ走り去っていった。
(父の日なんて忘れてたな)
手紙を持っていない左手でネクタイを緩めながら、右手だけで手紙を広げ、目を落とす。

お父さんへ
きょうは父の日なので、とくべつにぼくがしっているひみつを教えます。そのひみつはお母さんのことです。お母さんはお父さんのことをよくしっています。お母さんがしっていることを教えるので、お父さんはこれをよんでかっこいいおとうさんになってください。
1.会社でかちょうと言ってるけど、じつはかちょうじゃないこと(お母さんは「まどぎわでほされている」と言ってました)
2.きゃばじょうにいれあげ、みつがされたあげくに指いっぽんふれられずに捨てられていること(お母さんは「それなりに金を使わされたのだったら、せめていっかいくらいなんとかしてみろ」と言ってました)
3.クイズばんぐみを見てうなずきながら笑っているけど、じつはなに一つ答えがわかっていないこと(お母さんは「答えがわからないのは100歩ゆずっていいとしても、パネルのとりかたのルールくらいはおぼえとけ」と言ってました)
4.「わかいころはよく山とか攻めたなー」と言ってるけど、じつはオートマ限定免許なこと(お母さんは「せめてレーシングゲームでは「MT」を選べと言ってました」)
5.「いろんな音楽きいて、さいごはジャズにおちついたよ」と言ってるけど、ジャズのちしきが映画「スウィングガールズ」を見ただけなこと(お母さんは「サックスを『かっこいいかんじのラッパ』と言うやつにジャズを語るしかくはない」と言ってました)
まだもう少しあるけど、これくらいにしておきます。お父さん、がんばってください。

(息子よ…お父さんは何をどう頑張ればいいんだろうか…)
とりあえず、緩めたネクタイを締めなおそうとしたところへ、玄関の開く音がした。
「あれ、帰ってたの。今日は早いのね。それ、何持ってんの?」
妻が息子からもらった手紙を指差して聞く。
「いや、これ父の日で、たけしから手紙もらって」
「たけしが手紙?あの子、何書いたの?」
「いや、なんか、あの、いや、なんかごめん」
「なにが?」
「いや、いろいろある気がするけど、5回くらいごめん」
「5回ごめん?なにそれ?てか、あんたなんでまたネクタイ締めてんの?」
「いや、しっかりしようと思って」
「何をしっかりするの?」
「いや、あの、とりあえずオセロでもする?」
「しねーよ。ご飯買ってきたから、たけし部屋からよんできてよ」
「オレ、B.B.キング聞き始めたんだぜ。やっぱジャズだよな」
「ブルースだよ、ブルース界の巨人だよ。ブルース三大キングの1人だよ」
「たけし呼んでくる」
「よろしくー」

少しだけ妻のことを知った父の日。しかし、これからもこれまでと変わらない日常が続いていきそうである。

おわりに

応募用に短編小説を書きました。

小説投稿サイトで募集されている「お父さん」をテーマにした短編小説のコンテストに応募するために書いた小説ですが、超短編で応募するのは初めてだと思います。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。

スポンサーリンク
関連コンテンツ

関連コンテンツ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする