今回はエッセイ短編集第7弾です。今回も前回同様、短めの話を3つ紹介したいと思います。
第1弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集①
第2弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集②
第3弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集③
第4弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集④
第5弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集⑤
第6弾はこちら↓で書いてます。
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エッセイ短編集⑥
contents
全力疾走
会社の野球チームに24歳の若者が加わってくれました!
「この前会社に入ってきた子な、野球やりたいらしいで。チーム誘っといたわ」
メンバーのSさんが機嫌よさそうに言う。
「いいですね!野球経験ある子ですか?」
「いや、ないらしいねんけどな。宮崎出身の子で、実家が日南学園の近くらしいねん。だからうまいやろ」
「・・・・」
実家が野球の名門校の近くというだけで、期待の新人として紹介された気の毒な青年はYくんといった。
このYくん、野球経験はないのでまったく野球はできなかったが、すごく真面目で一生懸命なので、チームのみんなからすぐに愛された。
ウチのチームはゆるゆるチームなので、経験者だろうが初心者だろうが関係ない。来てくれた人には必ず試合に出てもらう。そのため、Yくんにも試合に出続けてもらった。
そして、少しだけ野球に慣れてきたある試合でのできごとだ。
ランナー1塁で打席はYくん。Yくんはだいぶストライク、ボールの見極めができるようになってきていた。
ピッチャーが投げる、ボールはホームベースの手前でワンバウンド、当然、Yくんは振らない。そして、このボールをキャッチャーが大きく横へはじいた。
しかし、これを見ても微動だにしない1塁ランナー。このときの1塁ランナーはこのブログで何回か紹介しているKさんだった。
「あほー!走れー!!」
「何やってんねんお前はー!!」
微動だにしない1塁ランナーのKさんに対してベンチから声が飛ぶ。当然だ。キャッチャーが大きくボールをはじいているので、Kさんはラクラク2塁までいけるのだ。
しかし、ここで猛然とダッシュしたのは、1塁ランナーのKさんではなく、打席のYくんであった。
「え??ちょっと!!ちょっと!!」
Yくんを指さし慌てる相手ピッチャー。そして、
「え?なんで?なんで?」
と何が起きたかわからない相手ベンチ。当然だ。野球にそんなルールはない。振り逃げというルールはあるが、これはバッターが三振したときに適用される。Yくんはしっかりとボール球を見送っただけだ。
「ちがうー!Yくん走ったらあかんねん!!」
「Yくんに言うたんやなくて、ランナーに言うてん!!」
そして、僕たちのベンチは爆笑につつまれた。後からYくんに聞くと、
「みんなが走れ!って言うから、走りました」
とのこと。
一生懸命でまっすぐなYくん。チームのみんなに、大人になって忘れてしまった大切な何かを思い出させてくれました!
イェスモンゴメリー
偉大なるジャズギタリストの一文字が変わっただけで、偉大さがなくなりました。
ここ3年くらい、なかなか上達しないが、ジャズギターの勉強をしている。世界的に有名なジャズギタリストの演奏はやはり凄くて、勉強になる。
この日は自宅で、もはや説明不要な偉大なるジャズギタリスト、ウェスモンゴメリーの曲を練習していた。
「それ、誰の曲ー?」
相方が聞いてくるので、
「ウェスモンゴメリーやで、聞いたことある?」
相方はまったくジャズに興味がないが、ウェスくらい偉大なら知ってるかもしれない。
「イェスモンゴメリー?楽しそうな人やなぁ」
「違う!イェスやなくてウェス!」
と言ったあとに爆笑してしまった(笑)
冒頭の一文字、「ウ」が「イ」になっただけ。
しかし、たったそれだけで偉大さは消えてしまい、何か、パッとしない芸人のようになってしまった。言葉って凄いなぁと思い知らされました(笑)
それも僕ですか・・・
会社の設計部門に所属してたころ、パソコンに詳しい方だったのでいろんな依頼がきました。
「さかもとくん、ちょっとメールの設定見てくれへん?」
「ネットつながらんくなってんけど、なんでかな?」
設計部門にいたころ、よくこういう調査依頼をいただいた。設計部門は技術者集団だが、意外とパソコンに弱い人が多かったりする。僕の専門は組込みのソフトウェアであるが、もともとSEをやっていたこともあり、部署内では一番パソコンに詳しかった。
会社のシステム部門は別拠点にあったので、同じ拠点の違う部署からも同様の依頼をいただいたりした。自分の得意なことなので、パソコンに対して聞かれるのは全然嫌でなかったが、なぜか、だんたんと依頼内容がおかしなものになってきた。
「LANケーブルってどっかに余ってないかな?」
とか、
「マウスパッドちょうだい」
とか。。。
いや、LANケーブルとか、マウスパッドの管理してる訳じゃないから知りませんけれども。。。
どうも他の部署、
「とりあえずさかもとに聞いとけ」
みたいな感じになってそうだ。この流れは何とかせなあかんと思い、上司に相談した。
「そんなんまで来てんねや。ほんまに関係ないのくるようになったら言うてきて。ちゃんと周りの部署にいうわ」
もう僕の中では依頼を断ってほしいレベルだったのだが、決定的なやつがくるまで待ってみることにした。どこまでエスカレートするのか楽しみにしていたところもあったかもしれない。そして、ほどなくしてそのときはやってきた。
「あのさ、ウチの部署のポットが壊れたかもしれへん。お湯が沸けへんねん。一回見てくれへんかな」
いや、しらんし。。。(笑)
そして僕は上司に報告へ向かった。
LANケーブルとマウスパッドは辛うじてPCの要素がまだあったが、さすがにポットはお手上げでした(笑)
おわりに
短編集第7弾を書いてみました。
ポットの件は部署のみんなで爆笑しました。修理してあげれなくて申し訳なかったです(笑)
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。