高校時代、運動会のマラソンで3位に入ったのですが、その3位というのが後輩に申し訳なさすぎる、汚れた3位でした。。。
そのときのお話を紹介しようと思います。
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マラソンへ出場
僕の通っていた高校の運動会ではマラソンの種目があり、全種目中、1,2位を争うくらいの不人気種目となっていた。
当然立候補者も少ないが、クラスから最低一人は出ないといけないので、選出された人は半ば罰ゲームのような感覚だったと思う。(もちろん、走りたくて走っている人もいる)
しかし、このマラソン大会には救世主が存在した。野球部である。
野球部員は運動会のマラソンへ出場しなければならないという野球部ルールがあり、1年生は有無も言わさず絶対に出場。2年生はクラスに立候補者がいなければ出場だった。(3年生は免除)
そして、1年生の野球部員は全員参加なのだが、さらにその中の2名が「ダッシュ組」という理不尽極まりない組に選出される。
この組の使命は
「ペース配分など考えずスタートと同時に全力でダッシュ・・・そして、力尽きるまで走り続けること」
重すぎる任務である。毎年、このダッシュ組に任命されたかわいそうな野球部員は、当然、最初はトップで学校を飛び出していくが、帰ってくるころには廃人のようになっている。ちなみに、選定基準は先輩の気まぐれ。
僕は野球部に所属していて、このとき2年生。クラスに立候補者がいなかったのでマラソンに出場することになったのだが、僕は野球部なので1年生の時もこのマラソンを走っている。
そのとき特にきついとも思わなかったので、このマラソン走るのがそれほど嫌ではなかった。もちろんこれは、「ダッシュ組」を免れたので言えるセリフである(笑)
かくして、2年連続でマラソン大会に出場することになった。
マラソンコース
マラソンのコースはスタートとゴール地点が一緒で、スタートして運動場のトラックを半周して学校を出ていく。
出ていったあとは隣接するグランドの外周を10週走る。10週走った後、出て行ったところから学校へ戻ってきてトラックを一周半してゴールとなる。上の絵のような感じである。(絵、下手すぎてすみません^^;)。
このコースの距離だが、隣接するグランドの外周が確か500メートルくらいだったと思うので、全体で5kmと少し。それほど長い距離を走る訳ではない。
1年前は特にペースを上げたりせず楽に走れた記憶がある。距離はそんなに長くない、
(去年よりもっとペース上げても走れるんやないかな)
1年前よりは体力がついてる、そして、1年前はペースを上げずに走って全体の10位くらいで走れた。
(今年、3位以内に入ってやろう)
いつしか、そう思うようになっていた。
僕は高校時代、1番バッターのくせに短距離より長距離の方が得意というおかしな性質を持っていた。
マラソンスタート
運動会当日、僕は他の種目にも出場する予定があったがマラソンが最後の種目。他の種目に出ながらもマラソンが頭にあったように思う。
運動会が進み、いよいよマラソンスタート。
このマラソン、陸上部で長距離を専門にしている人などは走らないが(というより、陸上部自体がそれほど走らなかったように思う。)、長距離を得意とする人たちはちらほらいる。そして、友達の情報などで自分より速そうな人もわかる、最初はその人たちについていこうと決めていた。
1年生~3年生の出走者がスタートラインに群がる。人数が多いのでキレイに並べないが、最初から飛ばすつもりでいたのでそれほど気にならなかった。
「それでは、最終種目のマラソンスタートです!よーい、バーン!!」
一斉にスタートする。
まずは「ダッシュ組」が見事なスタート。可愛い後輩2人が全力で駆けていく。かわいそうに。。。(笑)
「ダッシュ組」から少し遅れて、ついていこうと決めていた人たち。思った以上に速いペース。でも、ついていこうと決めていたので、その人たちについて学校を出た。
校外での戦い
学校を出て外周に入る。集団は6~7人程度、ペースは落ちるどころか速くなっていく。そして、外周を1周回らないうちに、泣きそうになっている「ダッシュ組」をつかまえる。
(ダッシュ組を捕まえるのが速すぎる。。。)
このとき、自分の中で完全にオーバーペースと思ったので、少しペースを落とした。前は離れていくが、後半落ちてくると信じた。
(落ちてきたところを拾えばいい。もし落ちてこないなら、自分の勝てる相手ではない。)
そう思った。そして、集団を遠くに見ながらその後しばらくは一人で走った。
半分を過ぎたころ、集団ではなくばらけていたが、再び前が近づいてきた。前が近づいてくると力が出てくる。
1人、また1人と抜いていく。はるか遠くにいる人にはもう追いつけない。でも、前に見えている数名を抜けば3位には入れるかもしれない。そう思ったとき、後ろから猛追してくる人に気づいた。
(誰かきてる。。。)
振り返ってみる。すぐ後ろに、猛追してくる野球部後輩Mの姿があった。
(こいつ、こんな速かったっけ??)
野球部では自分が長距離一番速い自信があったので(短距離では自分より速い人いっぱいいたが)、マークしている人たちの中に野球部のメンバーはいなかった。
Mが僕を抜きにかかる。初めは何とかついて行ってたが、ジリジリ離されていく。
(やばい、こいつ、オレより足が残ってる。。。)
残り1周。ここまでで、落ちてきた人は全員拾えたと思った。前にいるのは、先頭集団から落ちてこなかった人たちと、後輩のM。
先頭の人たちはもう学校に戻ってトラックに入っているだろう。そして、僕が残り半周を過ぎ
(もうすぐ学校だ!)
と思ったとき、Mが学校に入っていくのが見えた。そして、Mから半周近く遅れて僕も学校へ戻り、トラックへ入った。
汚れた3位
トラックに入ると、↑のような感じだった。
1位、2位がゴール目前、後輩のMはゴールまであと1周を切っている。僕は見た目上3位のように見えるが、あと1.5周走らないといけないので実際は4位。Mを抜くのは絶望的だった。
(速い。。。M、あいつ普段の練習真剣に走ってなかったな。。。)
そんなことを考えながら走っていた。ゴール地点には、ゴールかあと1周か判定する先生がいて振り分けられる。
「はい1位!!おめでとう!!」
「はい2位!!おめでとう!!」
前を走る二人がゴールする。そして僕がゴール地点の前を通り、あと1周走ろうとしたときである。
「はい3位!おめでとう!!」
と言われ、ゴールした人たちチームの方へ振り分けられたのである。
(え、いや、あと1周あるんです。。。)
そう言おうとしたが、一回走るのを止められると再び走る気にはなれず言いだせなかった。汚れているが、3位になれるという思いもどこかにあったのかもしれない。
もちろん、僕が半周しか走ってないことに気づいている人たちもいたと思うが、その後、続々とランナーが校内に戻ってきたので、僕が半周しか走ってないことは、うやむやになってしまっていた。
祝福
「いやぁさかもと、汚れた3位おめでとう(笑)」
「さかもと、最後半周しか走ってなくない?」
「きゅーちゃん(ぼくのこと)って、あと1周残ってなかった??」
クラスメイトのところへ戻ると、次々と言われた。
「いや、残っててんけどな、ゴールって言われて。。。」
「いや、わかるよ!言われたらゴールしたくなるよな。あと1周残ってたけど(笑)」
「どんな形でも3位は3位や!汚れた3位(笑)」
楽しんでやがる。。。でも、僕が悪い。順位なんか関係なく、ちゃんとあと1周走るべきだった。ズルして得た評価なんて、みじめなだけだ。これからは何があっても正直にいこう。
テストでわからんとき、シャーペン回して選択肢決めるのとかやめよう。ちゃんと考えて・・・
「でも、ほんまの3位の人かわいそう。きゅーちゃんの後輩やろ?」
しまった!まだ謝ってない!!
シャーペン回すのやめるとかの前にまず謝らないと!!
そして僕は、急いで後輩Mの元へ走るのだった。。。
おわりに
今でも運動会の季節になると、このことを思い出します。
このマラソン、最後に表彰式があって3位までが表彰されるのですが、3位の賞状をもらってみなさんから拍手をされてるとき地獄でした。頼むから拍手止めてくれって思いました。自分が悪いんですけど。。。
後輩は「気にしてません」と言ってくれましたが、そんなはずありません。
僕が通っていた高校は普通の公立高校だったので、野球部の上下関係も強豪私立みたいに厳しくありません。しかしそれでも、「学校で先輩を見たら、場所、時間に限らず大声で挨拶をする」程度に上下関係はあったので、先輩は絶対的な存在でした。
なので、僕に本音を言えるはずありません。本当に申し訳ないことをした。
今なら本音を言ってくれると思うので、OB会などでMに会ったら当時のことをもう一度謝って本音を聞いてみたいと思います。
「めっちゃむかつきました!!」って言われそうですが。。。
何事も正直が一番ですね。このときそう思いました。でも今、仕事とか正直にいけてない気がする。。。
まあ、臨機応変にですね。。。^^;
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。