架空のうっとしいおっさん、「池手名伊三」シリーズ第4弾です。今回は後輩社員の息子と将棋をさせてみました。
Linuxインストール
平川:「池手名さん、わざわざすみません。山本も悪いな。」
いぞう:「いや、かまわないよ。自分の好きなことだしね。」
山本:「おれ、暇だったから気にしないで」
平川の妻:「お二人とも、お休みの日にわざわざありがとうございます。作業終わりましたらご飯食べていってくださいね。」
山本というのは、いぞうの後輩で同じ開発部門に所属している。平川というのは、部署は違うが山本の同期。
その平川がLinux(PCのOS)の勉強をしたいということで、普段からLinuxを使用しているいぞうが、パソコンの設定を請け負い、今日やってきた。
いぞう:「ありがとうございます。大した作業しないのに、逆に申し訳ないです。」
平川の妻:「とんでもないです。私、よくわかってないんですが、LinuxっていうのはWindowsやMacと何が違うんですか?」
いぞう:「一番大きな違いは、無料ってことです。WindowsやMacは高いお金を払わないといけないですが、Linuxはタダなんですよ。」
平川の妻:「タダってすごいですね。」
いぞう:「それと、オープンソースといってプログラムが公開されているんですよ。なので知識があれば自分の好きなように改造することができます。WindowsやMacではそんなことできないですからね。」
平川の妻:「なにか難しそう。でも、私、今のWindows使えなくなると困るんです。大事なデータもあるし。」
いぞう:「大丈夫です。PCを立ち上げるときに、WindowsかLinuxかを選択できるようにしておきます。」
平川の妻:「そんなことできるんですね。」
いぞう:「デュアルブートっていうんですけどね、そういう使い方をする人、結構多いんですよ。」
平川:「池手名さんは優秀なSEなんだよ。」
いぞう:「それほどでもないんですがね、池田と黒田っていう同僚にミスが多くて、そのカバーが大変なんです。」
山本:(マジかよこの人。。いつも池田さんと黒田さんにカバーしてもらってるのに。。。二人聞いたら怒るだろうな)
いぞう:「よし!あとはインストールするだけだ、20分程度で終わると思います。」
平川:「ありがとうございます!」
対局申し込み
こうた:「おじさん!将棋しよう!」
平川の妻:「こうた!池手名さんお疲れだからダメ!」
こうたというのは小学校4年生になる平川の息子である。
いぞう:「いや、かまいませんよ。こうたくんだね?よし!将棋しよう!」
山本:「池手名さん、将棋できるんですか?」
いぞう:「僕にできないことなんかないよ。こうたくんに将棋を教えてあげることにしよう」
山本:「はぁ。。。でも、今は子供でも凄い強い子いますよ。中学生の子が羽生さんに勝ったりする時代ですし、あなどれないかもしれませんよ。」
平川:「ここ1年くらいハマッているんです。論理的な思考力もつくし良いことかなと思ってます。」
いぞう:「そうだね。あと、相手の立場になって考える力がつくしね。」
山本:「そうなんですか?」
いぞう:「そうなんだ。自分がどうしたいかだけ考えてたら将棋では勝てない。相手の立場になって考える。これは将棋に限らず社会に出てからも重要なことだ。」
山本:「確かに、自己中心的な人は嫌ですね。」
いぞう:「どうしても不平不満ばかりになるからね。当然人望も得られない。人望がなくいつも愚痴ってる。そんな人に魅力を感じるかい?」
山本:「感じる訳ないです。というか関わりたくもないです。」
いぞう:「僕もだ。そんな残念な大人にならないためにも、将棋は良いってことだよ。さあ始めよう!」
対局開始
いぞう:「こうたくん、先手。おじさんが後手でいこう。」
こうた:「え?先手でいの?やったー!」
山本:(確か将棋って先手の方が有利だったよな。。。大丈夫かこの人。。。)
こうた:「お願いします!」
いぞう:「お願いします。」
パシッ!!
対局がスタートする。
山本:(こうたくん、指し方かっこいいな。それに比べて池手名さんのダサイ指し方はなんだ。大丈夫かな。)
10分が経過する。
山本:「あの、、、池手名さん、、、大丈夫ですか?」
いぞう:「少し、不利な状況か。」
山本:「少し?開始10分で飛車と角取られちゃいましたよ。小学生に開始10分で飛車と角取られる40歳って、多分、凄いレアですよ。」
いぞう:「飛車と角はそれほど重要かい?僕は他の駒達も同じように愛しているよ。」
山本:「いや、それは結構なことですけどね。飛車と角って、王将が劉備だとしたら、きっと関羽と張飛くらいのポジションになりますよ。」
いぞう:「生憎だが、三国志に興味がなくてね、残念ながらその例えだと伝わらないな。」
山本:「何か腹立つなくそ、えーっと、ポンキッキでいうと、ガチャピンとムック超重要じゃないですか!飛車と角って、、、いや、それは違うな。ごめんなさい。ガチャピンとムック忘れてください。えーっと、あ!水戸黄門で・・・」
パシッ!!
いぞう:「チェックメイトだ。」
こうた:「え?いまの何?」
山本:「池手名さん、それ、桂馬ですよね。桂馬って
こういう動き方しかできないですよね。
今、そいつペガサスみたいな飛び方しませんでした?6段くらい飛びましたよね。あと、チェックメイトはチェスです。将棋は王手です。
駒戻してちゃんとしてください。」
いぞう:「そうか。チェスも好きなものでね。つい出てしまったよ。すまないね。」
パシッ!!
「王手!!!!」
山本:「いや、あのですね、言い直していただいたのは良いのですが、どちらかというと、言い方より飛び方の方が問題です。
桂馬がその位置にいれば確かに王手です。でもね、そこにいくのに一気に6段くらい動いてるでしょ。そんなに空高く舞い上がったらダメです。」
正義と悪
いぞう:「こうたくんに教えてあげたいことがあってね。」
山本:「なんですか?」
いぞう:「こうたくん、社会に出るとね、反則技を平気でつかってくる奴がいる。
しかも不思議なことに、それが認められてしまうんだ。正義が常に勝つとは限らない。悲しいけど、それが現実だ。
今回、おじさんは桂馬でありえない動きをした。反則技だ。でもね、これが通ってしまうのが現実なんだよ。わかるかい?」
山本:「いや、あの、無茶苦茶ですよ。。。」
こうた:「よくわからないけど、今の話だと、僕が正義でおじさんが悪ってこと?」
いぞう:「そうなる。そして現実では悪が勝つことが多いんだ。」
こうた:「わかった。じゃあ僕、全力でおじさんを倒す。今の桂馬、王手のままでいいよ。」
山本:「池手名さん、今の一回だけですよ!もうペガサスみたいに飛んだらダメですよ!」
いぞう:「わかっている。反則技を使うのは一回で十分だ。さあ、反撃開始だ。」
終局。そして、、、
10分後。
山本:「池手名さん、もう。。。」
いぞう:「まだ詰まれた訳じゃない。」
山本:「いや、確かにそうですけどね。でも、そこからは。。。てか、ここまで完膚なきまでにたたきのめされた人、僕初めて見ました。しかも小学生相手に。」
いぞう:「何か、何かあるはずなんだ。この局面を打破できる、起死回生の一手が。」
山本:「あの、どう考えてもないです。もう、あきらめて投了してください。」
いぞう:「確か、神奈川の方だったと思うんだが、ある高校のバスケットボール部の監督がこんなことを言ってたんだ。あきらめたら、そこで試合終了だよ。ってね。僕はその言葉が大好きでね。だから、あきらめる訳にはいかない。」
山本:「いや、しかしですね。。。」
平川の妻:「最後まであきらめない男性ってステキだと思います。」
山本:(あきらめの悪い男ほどめんどくさいもんねーよ。。。自軍の駒が王将しかねーのにどうすんだよ)
平川の妻:「あれ、パソコンが。。。」
山本:「どうしました?」
平川の妻:「インストールも全部終わってたんで立ち上げたんですが、Ubuntuって出てくるんです。どうやってWindows起動するんでしょう?池手名さんの話だと確か選べるって。」
山本:「ちょっと見せてください。」
山本:(・・・これ・・・、完全にWindows消し去ってるよ。。。全然デュアルブートできてねーよ。Linuxマシーンとして生まれ変わってるよ。)
平川の妻:「大事なデータがあって、今日中に送りたいんですよ。」
山本:(奥さん、そのデータはつい先刻、池手名さんの手によってこの世から消え去りました。そして、もう元に戻せません。)
いぞう:「くそ!追い込まれた!大ピンチだ。」
山本:(まだやってたのか。でもね。こっちでその局面以上のピンチが待ってますよ。池手名さん)
彼の名は、「池手名 伊三(いけてな いぞう)」
デュアルブートすらできないダメなSEである。
おわりに
今回の記事を書くにあたって少し将棋について調べたのですが、将棋ってすごく良い効果があるそうなんです。
記事で紹介した、「論理的な思考力」、「相手の立場になって考える」の他にも「礼儀が身につく」、「待てる人間になる」、「集中力がつく」などその効果は絶大らしいです。
なので、将棋は子供にとってもオススメとのことでした。
あと、これ書いてて自分に足りないスキルばかりだと感じたので、僕も今更ながら将棋を初めてみようかなと思いました(笑)
あと、昔LinuxをメインのOSで使っていたことがあったので、少しLinuxの話もしてみました。
ubuntuというのは簡単いうと初心者用の扱いやすいLinuxシリーズで、昔はDELLも一瞬だけubuntuをプレインストールしたPC売ってました。懐かしいです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。